中学生の82%が広告とニュースの区別がつかない!〜デジタルネイティブだから状況とは限らない〜

カリフォルニア州スタンフォード大学の調査で中学生の82%が広告コンテンツとニュースの区別がついていないということが判明したそうです。
…というニュースがネットで流れ、「最近の若者は頭が悪い」とか「そんなことも区別がつかないなんて、相当ヤバイんじゃない?」などという意見が多く見られました。

しかし、どんな実験をしたのかを載せている記事がなかったので、ちょっと調べてみました。
スタンフォード大学のウェブサイトで、この調査についてまとめられているPDFがありました。
↓こんな感じで実験したようです。
advchecks
とあるウェブサイト(おそらくテスト用に作成したもの)を見て、各コンテンツが広告かどうかを判断し、その判断した理由を記述するというものです。

調査対象は7804人の10代の学生で、複数の場所にあるいくつかの学校に強力を得て行われました。

メールやSNSを日常的に使ったり、動画をよく見るなど、日頃から長時間に渡ってネットを利用している学生が実験に参加しています。

その結果、82%の学生が広告と報道記事の見分けがついていないというものだったというわけです。

これは、確かにおそろしいことかも知れません。

何がおそろしいかというと、見分けがつかないのを良いことに、そこに付け入ろうと、ものすごい勢いで広告業界が攻勢を仕掛けてくるのが目に見えるところです。

広告をなりわいとしている人々にとって、多くの人が事実と広告の見分けがつかないという状態は、とてつもないチャンスなのです。

深夜、テレビで流れている青汁の宣伝を見て、途中で「なんだ!宣伝じゃん!」とならずに、見ている人の中では青汁の効果までがドキュメンタリーとして心に残るということです。水素水も売り放題です。

オックスフォード英語辞書は、2016年を表す言葉として「ポスト真実」を選出しました。
SNSの中では、本当の事実より、多くの人が望んだり、面白がる情報の方が真実として広がっていくというものです。

トランプ氏とヒラリー・クリントンの大統領選でも、お互いが嘘のニュースを発信し、相手をおとしめるということをしていました。そして、トランプ氏が情報戦に勝ち、次期大統領となりました。

その相手をおとしめるニュースを発信していたニュースサイトの代表が、ホワイトハウスに入ることが報道されています。

トランプ氏は補佐官として起用したかったのですが、家族に反対され、新しい役職を作ってそこに収まることになったそうです。

そして、そこから発信される情報は、多くの人が真実として受け止める可能性が高いというわけです。

トランプ氏は、大統領選に出馬する2年前、世界最大のエンターテイメントプロレス団体WWEに参戦していました。
WWEは、脚本家がいて次々に刺激的なエピソードを描き、大きな試合につなげていきます。

WWEの代表、ビンス・マクマホンは、WWEの中で絶対悪を演じています。
代表でありながら悪の限りをつくし、その彼がやっつけられる姿をみて、観客は狂気するのです。

大統領選でのトランプ氏の演説、実は、このビンス・マクマホンのマイクパフォーマンスそのままだったりするのです。
トランプ氏は、刺激的な言葉を使って、大勢の聴衆をいかに沸かせるかという技術をWWEで習得し、大統領になりました。

しかし、怖いのは、見たままのプロレスを、そのまま本当のものして受けとる人が82%いる可能性があるというところです。

プロレスファンは、言葉にしなくても、全てを解って受け入れています。だから笑って楽しめるのです。
しかし、そこに本気の目をした若者が増えることを想像すると…確かにおそろしいことです。