手作り石けんしてみませんか?

abracatabra

前回、食器洗いに手作り石けんをおすすめしました。
石けんは、結構簡単に作ることが出来ます。

材料は、油と水と苛性ソーダの三つだけです。
苛性ソーダは劇薬していされていますが、大きめの薬局なら取り扱っているところがあります。電話で売っているか聞いてみてください。また、購入する時には印鑑が必要なので、ご注意ください。

水は、水道水ではなく精製水を使います。

そして、メインの油。これを何にするかで、できあがる石けんの性質が大きく違ってきます。
石けんの性質とは、肌へのやさしさ、洗浄力の強さ、泡立ちの良さ、硬さ、くずれにくさなどです。
また、固まり安さも随分違います。

なので、自分の目指すところに近づけるように、何種類かの油を混ぜて調整します。
例えば、洗浄力の強い石けんを作ろうとすると、紅花油(ハイオレックのもの)を使います。
しかし、紅花油だけだと、泡立ちの悪くて、くずれやすい石けんになってしまいます。
泡立ちを良くするにはコーン油や綿実油、ココナツオイルなどを混ぜていきます。

油のブレンドについては、こちらにとても便利なシミュレータを公開されているので、興味があればぜひお試しください。

ukiukiせっけんライフ
『アルカリ計算&石けんシミュレーション』

油が用意できたら、水に苛性ソーダを溶かします。
溶かすと言っても、ビーカーに水を入れて、そこに適量の苛性ソーダを静かに入れていきます。
水が一気に沸騰して、ものすごい匂いのガスを発生し、すぐに水に溶けます。
目に入ったら失明する可能性が高いので、ゴーグルとゴム手袋の着用をおすすめします。

だいたいどれくらいの量になるかというと、油400g、水136g、苛性ソーダ53.3gという感じです。
使う油で随分変わってくるので、シミュレーターで事前に確認しておくのがお勧めです。

油に、苛性ソーダの水溶液を加えて、あとはひたすらかき混ぜます。
油を30〜40度ぐらいに温めておくのが、反応を良くするコツです。
容器は、ステンレスのボウルがおすすめです。混ぜるのに使うのは、ステンレスの泡立器です。

最低でも20分以上、使う油によっては、40分以上、かき混ぜなければいけません。
諦めかけてきたところに、なんとなくかき混ぜる感覚が重くなってきます。
石けんへの反応が始まった証拠です。
泡立て器を抜いて、泡立て器から落ちる油が、すぐに油にもどるのではなく、油の表面に筋が残るようになったら、後は型に流し込んで、オシマイです。

ちなみにオリーブオイルは、なかなか固まりません。最低でも1時間はまぜ続けてなんとか…というレベル。
なので、オリーブオイル100%の手作り石けんは、他のものより高価になるというわけです。
固まるのを早くするには、米油をブレンドするのがオススメです。

型に流し込んだら、完全に反応が終わる半月〜1ヶ月の間は、絶対に手を触れないようにしてください。流し込む型は、牛乳パックの空きパックで十分です。

手作り石けんにハマると、とにかく油が気になります。
そして、面白いことに、「人間ってどんなものからでも油作ってんな〜」ということ。

オリーブオイルはもちもん、なたね油、ひまわり油、紅花油、パーム油、グレープシードオイルや桃の種をしぼった油……などなど、人間はとにかくなんでもかんでも油にしてきました。

映画「ファイトクラブ」の中で、主人公が美容整形外科病院のゴミ捨て場をあさって、脂肪吸引で集まった、マダムたちの腹の贅肉を使って石けんを作り(もちろん秘密で)、それが大評判になるという皮肉な描写があります。
そう、人間は、人間までしぼって油にしているのです。

しかし、気をつけなればならないのは、自然との付き合い方です。
日本の一般家庭では、あまり見かけないものに、パーム油があります。

東南アジアでは、料理をする時に普通に使われているパーム油ですが、石けんや洗剤の材料として、大量に消費されています。
パーム油はパームヤシの実から獲れるのですが、自然に生えているものでは需要に追いつかないので、熱帯地方のジャングルを切り開いて、パームヤシの畑をどんどん拡大しているのです。
つまり、自然破壊を行っているのです。

そんなことをいつまでも続けていると、そのうち人間は自然から「油をしぼられる」ような事態に陥ってしまうかも知れません。

お後がよろしいようで。