みんなアートが好きなんだ!〜モネ、ルノワール、若冲…人々が押し寄せる展覧会と情報源について考えてみた〜

モネ展 76万人、ルノワール展 44万人、若冲展 44万人。
昨年と今年、評判を博した展覧会の入場者数です。

普段、自分の周りで「モネって最高!」とか「ルノアール萌!」とか「若冲キてるよね!」とかという会話を聞いた記憶がありません。しかし、これらの展覧会は大盛況ということで、話題となりました。
「そりゃ、東京には人がたくさんいるからでしょ?」
という意見もあるでしょう。

岡山県の沖合に浮かぶ「直島」は、島全体にアート作品が展示してあることで有名です。
そこへ訪れる人の数…年間35万人。金沢21世紀美術館…230万人
どうやら都心や地方という差ではないようです。

つまり、普段は声に出さないけれど「アートが好き」な人が、この世の中にたくさんいるということになります。
でも、やっぱり自分が参加しているfacebookやツイッターやインスタグラムに、その手の展覧会に行ったという投稿を目にすることは、ほとんどないのです。

もしかして、本当はそういう展覧会によく足を運んでいるのだけれど、人には言わない…という人が多いのでしょうか。
「ラジオが好きな人は、自分が聞いてる番組のことを他人にあまり言わない」という噂を耳にしたことがあります。そういう感じなのでしょうか?
いや、なんかちょっと違う感じがします。

展覧会に行く人は、それが催されているという情報をどこからか得ています。
情報の仕入先は、その人の趣味趣向、生活様式によって違ってきます。
私の場合、ここ10年ぐらいでテレビを見る時間がすごく減りました。
今、どんなCMがテレビで流れているかというのを全然知りません。
また、新聞を読むこともほとんどなくなりました。

実は、冒頭に挙げた3つの展覧会の主催には、テレビ局と新聞社が入っています。
いわゆるマスメディアです。
もちろん、主催している展覧会を、自社のメディアをフル活用して宣伝をするのは当たり前なことです。
その結果、そこを情報源としている人たちが、たくさん展覧会に訪れたということなのかも知れません。

昨今、テレビの視聴率が落ちているとか、新聞の購読者数が減っていると話題になっています。
しかし、全体的な数が減っているのは事実としても、そのメディアに触れる人たちにとっての影響力は未だ強力であることが解ります。

ただし、インターネットがマスメディアの偏重を説いていることを考えると、主な情報源をネットにしている人と、マスメディアにしている人とは相容れないと思われます。
また、ネットからマスメディアに情報源を移行することも考えにくいのも事実です。

2016年11月1日現在、アメリカの大統領選が大詰めを迎えています。
米国在住の映画評論家、町山智浩氏によると、話題のトランプ氏の支持者の大多数は、オールドジョブス(old jobs)と呼ばれる国際情勢とまったく関係のないローカルで完結する職種の人たちだそうです。
その層の絶大な支持を得ているのですが、old jobsの人たちの数は年々減っていて、その全ての票を獲得しても、ヒラリー・クリントン氏に勝つのは難しいとのこと。

この先、日本のマスメディアがどのように変わって行くのか、行かないのか。
それによって人々のアートへの感心がどうなって行くのか?
みなさんはどう思われますか?