地図アプリやカーナビで行き先を指定する時、一番確実なのは住所を入力することです。
◯◯県◯◯市◯◯区◯◯町1-1-1などと入力して、検索をすると行きたい場所が示されます。
そして、そこを行き先に決定……という流れになるのですが、実は今、それが大きく変わろうとしています。
3つの言葉が地球を変える
スマホアプリに「what3words」という地図アプリが登場しました。
これは、世界地図を57兆分割して、そのひとマスを3つの単語で示すというものです。
例えば、この記事を書いている事務所にほど近い「東京大仏」の位置を調べてみます。
東京大仏の位置を示す言葉は「だまる・すます・おそろい」になります。
位置を示すのは、日本語の場合は、ひらがなだけで表記された、意味がある言葉になっています。
地球を57超分割したひとマスの大きさは3mx3mで、かなり細かい位置まで3つの言葉で示すことができます。
もともとはっきりとした住所が無い南の島国ツバルでは、このwhat3wordsで示される3つの単語を正式な住所として採用することになったそうです。
確かに3m間隔で位置を決められるのはすごいことです。
今までの地図だと同じ住所に家が何軒か建っていたりして、ちょっと曖昧だったところが、きっちりと分けて示すことができるのです。
しかし、ちょっとひっかかることがあります。
そこで、その気になるポイントの実験をしてみることにました。
実験1:地名を入れてみたらどうなるか?
位置を示すことばに「とうきょう・しぶや・うだがわ」と入れてみました。
そうすると……
ん?ここはどこだ?
どうやら、福島県と新潟県の境あたりの山奥のようです。
ぜんぜん渋谷じゃない!
しかも検索結果が「とうひょう・しぶき・うでぐみ」となっています。
どうやら、入力した言葉の組み合わせが存在しないと、それに似た位置を示すようになっている様です。
もし、将来、A.I.で自動運転のタクシーが登場して、このwhat3wordsで行き先を指定することになっていたとします。
それに気付かず、東京渋谷宇田川と言ってしまうと、ここに連れてこられてしまうといことになりそうです。
実験2:3つの言葉を間違えるとどうなるのか?
自由の女神の位置は「かまきり・のって・ひろま」で示されます。
では、自由の女神への行き方を調べようと、入力した言葉を間違えたとします。
「かまきり・きって・ひろま」 「のって」を「きって」と間違えました。
すると…… ここはどこだ?
自由の女神から車で33時間離れたユタ州のソルトレイクシティーの近くを案内されてしまいます。
ケント・デリカットもびっくり!
what3wordsの問題点
地球上の任意の位置を3m刻みで指定できることは素晴らしい発想です。
そして、それを馴染みのある言葉3つで示すことも。
しかし、先程の「のって→きって」のように、馴染みがあるからこそ、うっかり間違いやすいということもあります。
さらに、もうひとつ問題を挙げると、3m刻みの方法は、大都会の配達物には向いていないという点です。
例えば、googleの日本法人に何か郵送したいとします。
日本のgoogleは六本木ヒルズにあるのですが、ヒルズのビルの位置をメッシュで示しても、そのビルの何階に持って行けば良いのかが判りません。立体的な位置を示すのには、このwhat3wordsは向いていないということです。
さらに、そのような大型のビルはまとめて郵便物を受け取る窓口があったりしますが、そういうイレギュラーな所も弱点になります。
実はとんでもない新しいビジネスの始まり
先程出た、イレギュラーな位置を示すために、将来、そこ専用の3つの言葉を買い取るというビジネスが始まるかも知れません。
いや、what3wordsを考えたところは、本当にその商売を考えているんだと思います。
この3つの言葉で位置を示すしくみが世界に浸透すると、地図業界にgooglemap以来の大きな変化が起きることでしょう。