食後の食器洗いは、私の担当です。
若い時はなんともなかったのですが、30代中盤を過ぎた頃から、手がガサガサになってしまいました。
そんな時、アクリル毛糸で編んだアクリルたわしだと、洗剤を使わなくても汚れが落ちるということを小耳にはさみ、試してみました。
すると、手荒れが随分とよくなりました。どうやら手荒れの原因は洗剤にあったようです。
それまで、テレビでコマーシャルでよく見かける液体の食器洗剤を使っていました。
しかし、アクリルたわしで軽い汚れは落ちるのですが、脂のベトベトはそうも行きません。
どうしても少しは洗剤を使うことになります。使ったあとは、やはり手が荒れます。
ある日、ひょんなことから手作り石けんに挑戦することがありました。
単純に油と苛性ソーダだけで作ったので、いい匂いなんてしません。なんとも油臭いへんな臭いです。
どうも、顔や体を洗う気持ちにはなれなくて、「作ってはみたものの、どうしよう?」という感じでした。
そこで、試しに食器洗いに使ってみることにしました。石けんは、油汚れに強いのです。
水に濡らしたアクリルたわしと石けんをゴシゴシこすりつけて、泡をたて、食器を洗います。
確かに、油汚れがよく落ちます。ただ、売っている食器洗い洗剤に比べて、ものすごくすべります。
油断していると、つるっと手を滑らせてしまいます。
これに慣れるまで結構時間がかかったのをおぼえています。
試しで作った石けんは牛乳パック1本分ぐらいあったので、それを切り分けて、すべて食器洗いに使ってみたところ、手の荒れが収まりました。
それまで食器洗いに使っていた液体状の洗剤は、合成洗剤と呼ばれるものです。
合成洗剤は、主に石油を原料として、合成界面活性剤を生成してできたものです。
一方石けんは、動物や植物の油脂が原料で、脂肪酸ナトリウムという界面活性効果のある成分でできています。
石けんは、ある程度水で薄まると界面活性効果がなくなります。
脂肪酸ナトリウムは微生物によって分解もされていきます。
しかし、合成洗剤は、水で薄まっても、界面活性効果が弱くなりません。
さらに、手作り石けんは、脂肪酸ナトリウムの他に原料の油分や途中で発生するグリセリンが入っています。
これが、手荒れを防ぐ要因になっているのです。
「じゃあ、全部手作りすればいいじゃん」ということになります。
しかし、この手作り石けんには致命的な欠点があるのです。
それは、「作るのに時間がかかる」というものです。
油と苛性ソーダを合わせて、ぐりぐりと混ぜるのですが、これが20〜30分かかります。
そして、それを型に流し込んで、実際に使えるようになるまで半月〜1ヶ月ぐらいかかるのです。
その間にゆっくりと油が脂肪酸ナトリウムに変化していきます。
変化し終わる前だと、まだアルカリ性が強くて、肌を痛めてしまいます。
そう、大量生産にまったく向いていないのです。
では、薬局で大量に売られている石けんはどうやって作っているのか?
これは手作りとは違って、ガンガンに油を加熱したり圧力をかけたりして、無理矢理反応を早くしたり、油から固まるのが遅くなる原因のグリセリンを取り除いて反応を早めたりしています。
しかし、背に腹は変えられません。それでも合成洗剤よりは全然手に優しいのです。
なので、今は、自分では造らずに、薬局で食器洗いの石けんを買ってきています。
おすすめなのは、食器洗い専用のものではなく、ふきん洗い用のもの。
これが、余計な匂いもなくて、かと言って油臭いわけでもなく、成分は98%が石けん成分(脂肪酸ナトリウム)なので安心なのです。
手荒れでお悩みの方は、ぜひ、お試しください。