ストリートビューのないところにはナゾがある。あるところにもナゾがある!?

カナリア

ストリートビューが無い国、地域には何かしらその原因がある…と何度かに渡って書いてきました。

妄想ストリートビューまとめ

今回は、その逆について書いてみようと思います。

「なぜこんなところがストリートビューで網羅されているのか?」

こんな所というのは、カナリア諸島になります。
カナリア諸島は、アフリカのモロッコの西50kmぐらいにある7つの小さな島からなる地域で、スペインの領地になっています。

カナリア諸島の位置
カナリア諸島の位置

面積は7つの島を合わせて約7500km²。北海道が8400km²ぐらいです。

そんな小さな島のカナリア諸島ですが、7つの島の全域にストリートビューが行き渡っています。
本当に小さな路地まで網羅されています。

対岸のモロッコや西サハラは全然整備されていないのに、これはいったいなぜなのでしょうか?

前回、モーリタニアが国ごとインターネットが使えなくなったことについて書きました。
その原因は、何者かによる海底ケーブルの切断だったのですが、他に影響があった国の位置を考えると、このカナリア諸島の南辺りで切断されたんじゃないかと私は推測を立てました。

この小さなカナリア諸島の近くには、ポルトガルとスペインから延びる海底ケーブルが沢山通っています。
言わば、ヨーロッパとアフリカを結ぶインターネットの重要な経由地なのです。

カナリア諸島
カナリア諸島周辺の海底ケーブル

しかし、それが、ストリートビューと関係しているのでしょうか?

確かに、googleカーで収集した道の画像をどこかに送るのには適しているかも知れませんが、それが、小さな島の隅々までストリートビューを設置する要因になるとは思えません。

ストリートビューの画像を見てみると、2009年ぐらいから撮影されていることが解ります。

canaria2009
2009年ぐらいから撮影されている

googleストリートビューが始まったのは2007年ですが、当初はアメリカ国内だけでした。その後、2008年の7月にフランスとイタリアでサービスが始まりました。日本でも2008年の8月に始まっています。
それから1年後ということは、小さな島をテスト的にサンプリングしていたとも考えられません。

そこで、違う方向から考えてみました。
この小さなカナリア諸島は、年を通じて15〜30℃温暖な気候で、夏も冬もヨーロッパからの旅行客で賑わうそうです。
その数、年間90万人。これは外国人観光客の数なので、スペイン本国からの旅行者数は入っていません。
90万人…1日あたり2.5万人の外国人が訪れるわけです。

Booking.comで調べると、ホテルの数は15,000軒。
面積で割ると、1km²あたりで2軒のホテルがあるわけです。極端に言うと、どっちの方向に歩いても500mごとにホテルがある換算になります。

同じく東京、大阪、京都、札幌、沖縄を調べて合計してみると、ホテルの数は11,500軒ぐらいでした。5つのと都市の広さを合計すると12000km²ぐらいなので、いかにカナリア諸島が観光ビジネスが盛んなのかが解ります。

そう、観光客を呼ぶには、観光資源の広報活動が必要不可欠です。こんな所だよ!というのを積極的に発信して行く必要があるのです。

ずばり、小さなカナリア諸島全土にストリートビューが行き渡っている理由は、
「観光客呼び込みのため」
だと思います。

そして、なんでもない田舎道のデータが、何度もアップデートされていることを考えると、もしかしたら、現地の人が、「これは使える!」と積極的にgoogleにアプローチして全土を網羅、その後も継続してアップデートのアプローチを続けているからかも知れません。

canariaupdate
ストリートビューが更新されている

小さな島々でなるカナリア諸島をストリートビューが網羅している理由は、観光が産業の中心である地域かつ、現地の人の「使えるものは使ってやろう」という考え方の両方があったからこそなのです。