2016年11月6日、TOKYO DESIGN WEEKというイベントに、日本工業大学の学生が出展していた木製のジャングルジムから出火し、5歳のお子さんが亡くなりました。
とても残念で悲しい事件です。
木製のジャングルジムの中には、かんな屑が詰められていて、それを内側から照らす照明があったそうです。
詳しいことは解りませんが、その照明に高温を発する電球が使われていたことが原因だったと言われています。
事件後、「そんなの予想できなかったのか!」という意見がツイッターなどでたくさん見られました。
しかし、TOKYO DESIGN WEEKは10月26日から開催されていて、木製ジャングルジムが燃えそうだという意見は、私の耳には入っていませんでした。開幕から事件までの間、この展示に訪れた人も「これは、やばいだろ」と思いもしなかったのが現実なのでしょう。
30年の歴史があるイベントで、しかも工業大学の生徒が造った展示物です。
危ないなんて思うハズがありません。
おそらく、私が見たとしてもなんの危機感も感じなかったと思います。
イベントで、飲食店の出展をする場合、主催者側が「どのお店が何を、どういうカタチで販売するのか」というものを、事前に保健所に提出しなければなりません。
東京の場合は区ごとに異なるのですが、「要冷蔵」のものを販売がNGだったり、器は使い捨てのものでなくてはダメだったりします。
また、キッチンカーなどの営業許可を得ているものは別として、ブースを作って販売する場合は、各店舗の見取り図を作成して、必要な設備がそろっているかチェックを受けて、ようやくイベントでの飲食販売ができるのです。
キッチンカーの営業許可も、東京と神奈川は違うように、その都市での認可を受けていないとNGです。
同じようにというか、TOKYO DESIGN WEEKのような展示会の場合は、より詳細な図面がかなり前にできあがっているはずです。
それを造るのに必要な什器(照明やパーティションや展示ケースなどの総称)のリストもあるはずで、そのリストから発熱するものと、その取付位置をチェックするだけでも、今回のような事態を防ぐことはできると思います。
什器類は、それの貸し出しとセッティングを行う専門の会社がイベントごとに入っています。
普段から、そのような会社は手持ちの什器の特製に詳しく、メンテナンスにも手を抜きません。
そこに、「発熱するものは要注意ね」と、ひとこと言うだけでも、すぐに効果が出るハズです。
つまり、火事に対して「やばい」と思う人が誰もいなかったのが、この事件の原因なのです。
また、今回残念だったのは、木製ジャングルジムの展示が屋外であったことです。
屋内であれば、スプリンクラーなどの消火設備が作動して最悪の事態は防げたからも知れません。
また、為す術もなく、燃え盛る木製ジャングルジムを遠巻きに見ている人たちの写真がツイッターにたくさん挙げれている様子から、消火器も近くにはなかったのだと思います。
本当に残念です。
この木製ジャングルジムを出展した学生の中に、キャンプファイヤーをやったことがある人が一人でもいれば、事態が変わったいたかも知れません。
どうやって火を付けつけるか、そしてどんな勢いで燃えるのかを知っていれば。