ウマヅラハギをおろしてみた その1 〜さわって初めて分かる「よく出来た感」と「よく出来てない感」〜

ウマヅラハギ

魚をおろすのと、ITと全然関係ないような、あるようなお話です。
冷蔵庫にウマヅラハギが鎮座しているのは知っていたのですが、どういうことか、それを私がさばくことになりました。

正直、魚の正しいおろしかたなんて知りません。
そこで、料理のレシピが山ほど集まっているウェブサイト「クックパッド」を見ながら挑戦することにしました。
まず、思ったのが、手がぬるぬるになりそうなので、そこをなんとかしなきゃいけないということ。

まずは、iPhoneの音声ガイド「Siri」を呼びかけで使えるようにしました。
これで、手で触らなくても「ヘイSiri!」と呼びかけると音声で応えてくれて、声で操作ができます。

予めクックパッドのウマヅラハギのおろし方のページを開いておいて、ウマヅラハギをまな板に乗せます。

まずは口を切り落とします…とあります。なるほど、と、包丁をあててみるのですが、ものすごく皮が硬い。
紙やすりのような硬いザラザラと、なめし革のような丈夫さを兼ね揃えたウマヅラハギの皮は、まったく包丁を通しません。
包丁をノコギリのようにギコギコ動かしても、まったく入っていかない。
その後、包丁の先で突き刺したり、かかとでグイグイやってみて、格闘すること数分、ようやく皮に包丁が入りました。
しかし、中の骨が硬い。ここでも苦戦しながら、半ば力づくで切り落としました。

口を切り落とされたウマヅラハギ
口を切り落とされたウマヅラハギちゃん

次は、「口を切り落としたところから皮を剥ぐ」とあります。

なるほど、と、皮を掴んでぐいっと引っ張る。全然剥けない。
想像してみてください。口を落とした細いところから胴の太い方に向かって皮を剥ぐのですが、その皮がものすごく丈夫で、余裕なくピッタピタに体についているのです。剥けるわけがありません。包丁で皮に切れ目を入れようとしても硬くて無理です。

「こんなに硬いとなかなか、他の生き物に簡単には食われたりしないだろうなぁ」とか「しかし、こんなヤスリのような肌をどうやって作るんだろう?よく出来ているなぁ。新陳代謝とかどうなってるんだろう?」と、やたらと感心したり不思議に思ったり、さばいてみて、初めて感じることがたくさん浮かんできます。

しかし、ぼんやりしている訳にはいきません。
かくなる上は……と、キッチンバサミを取り出して、ジャキジャキと腹のところを切り裂きます。
ようやく皮をつかむことができました。が、ここまで散々こねくり回していたので、魚の油で手がズルズルなのです。
掴んではズリッと滑り、掴んでは滑り、剥がれないところはハサミを入れ、包丁を入れ、まるで猟奇殺人者のでたらめな検死解剖のような無様な手順でなんとか、ウマヅラハギを裸にすることができました。

そして、次の手順、「ヘイ!Siri!」……あれ?「ヘイ!Siri!」
皮を剥ぐのに手こずっているうちに、iphoneが待機状態に入ったようです。
Siriの設定をするときに、「ロック中にSiriを許可」をONするのを忘れていました。
チックショー!!と叫んでみてもまったく無反応。結局、ズルズルの手を洗って手で操作することに。
おろし方のページを開いてみても、スクロールして画面の下の方を見るのはSiriにはできませんでした。
「へいSiri!下にスクロールして!」と言ってみても「すみませんが、それはできません」と、なんとも塩対応です。

おろしの行程は、この先もまだまだ続きます。その都度、手を洗ってはスクロールさせて、当然のように書いてあるところは別に調べて……と、終わってみると、iphoneもかなりベトベトな状態になっていました。

便利なんだか、不便なんだか、少なくともウマヅラハギをおろすときのアシスタントとしては、Siriはむいてないと感じましたというお話。

裸のウマヅラハギちゃん
裸のウマヅラハギちゃん